Storage Magazine翻訳記事

コラム:ストレージネットワーキングにとってのターニングポイント

著者:Bob Laliberte
Storage Magazine 2008年11月号より


ストレージの専門家は、これまで以上にネットワークについて学ぶ必要に迫られるだろう。

データセンターに変革が起こりつつある。企業は、地理的に分散したデータセンターを1か所に統合して占有面積とコストを削減し、業績向上を図ろうとしている。この変革を可能にしている最も顕著な技術の1つは、仮想化、特にサーバの仮想化だ。しかし、仮想化がこれほど注目を集めているにも関わらず、利用可能なサーバのうち現時点で仮想化されているのはおそらく10%足らずに過ぎず、まだまだ成長の余地が残されているといえる。この変革のもう1つの重要な側面は、拡大するネットワークの役割だ。サーバ仮想化のすべての機能をサポートするには、ネットワーク化されたストレージ環境が必要だ。エンタープライズ・ストラテジー・グループ(ESG)が行った調査によると、サーバ仮想化部門の86%が、ネットワーク化されたストレージ環境を利用しているという。さまざまなタイプのネットワークの利点がベンダーによって語られているが、最も一般的に使用されているのは、依然として、パフォーマンス上の理由で選ばれているファイバチャネル(FC)だ。とはいえ、専らFCだけが使用されているというわけではなく、多くの企業が、パフォーマンスのニーズ、内部のスキル、予算に応じて複数のネットワークを導入している。

ネットワークにおけるFCoEの役割
変貌を遂げようとしているデータセンターと時を同じくして、最も広く使用されているネットワーク技術もまた進化しつつある。多くの企業が、1Gbから2Gbに、次に4Gbに、そしてさらに8GbにとアップグレードしていくFCのロードマップを辿ることに満足している。しかし一方で、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)などの新しい技術の出現によって、ユーザはやみくもに16GbのFCに突き進む前に一旦立ち止まって考えるようになった。それはなぜか。そして、ストレージチームがこのことに注意を払う必要があるのはなぜだろうか。

遙かに高いスループット/パフォーマンスが実現する可能性
■FCoEは10Gb Ethernet(10GbE)を利用したものだ。より厳密に言えば、Ethernet規格の強化されたバージョンであるConverged Enhanced Ethernet(CEE)と呼ばれる規格を採用している。変更点は主に、パケット欠落の解消と混雑の緩和に関係するものだ。

■FCoEのロードマップにはEthernetのロードマップが反映される。つまり、次のステップではスループットが4倍(最大40Gb)になるということで、これではFCのロードマップはすぐに追い越されることになる。

統合を通じて、さらなるコスト削減が実現可能
■どのIT組織も常に、コストを削減せよというプレッシャーにさらされている。FCoEを導入すれば、必要なカードとケーブルの数を少なくともラックレベルで減らす機会を得ることができる。このことで、電力と冷却設備の要件にも多大な影響が及ぶ可能性がある。

■10GbEポートの定価はすでに1ポートあたり500ドルを下回っており、今後も販売量が増えるに従って低下する見通しだ。

主要ベンダーはこの領域にすでに多額の資金を投じている
■主要ベンダーは統合の利点を理解し、この移行を可能にするソリューションを提供するためのハードウェアとソフトウェアのポートフォリオを構築中だ。比較的有名な買収の例としては、Cisco Systems社によるNuova Systems社の子会社化や、Brocade社によるFoundry Networks社の買収などがある。その他にもEmulex社やQlogic社といった企業が、ホストバスアダプタとNICカードにとってかわる統合型ネットワークアダプタを提供するための独自の技術を開発した。

このことがストレージチームにとって重要なのはなぜか。データセンターとそれを実現するネットワークが引き続き変化していくにつれて、データネットワークとストレージネットワークの間の境界線があいまいになっていくだろう。サーバの仮想化とデータの移動性によって、IT組織は、データセンター技術に対する従来のサイロ型のアプローチを考え直す必要に迫られている。たとえば、CiscoがVMworld 2008で仮想スイッチCisco Nexus 1000Vを発表するまでは、サーバ管理者はVMwareのインターフェースを通じて、ESXハイパーバイザに組み込まれたVMware仮想スイッチを制御していた。今では、ユーザがVMware環境にCiscoの新しいNexus 1000Vを導入することを選択すれば、ネットワーク管理者はスイッチ環境を再び制御できるようになり、CiscoのNX-OSを利用して物理Ethernetスイッチだけでなく仮想Ethernetスイッチも管理できるようになる。

ストレージチームにとってこの変革が意味するもの
この変革プロセスを検討する際には、自社が現在どの段階にあるのかを理解することが重要だ。サーバの仮想化を実装したばかりなのか、本稼働中なのか。仮想サーバ環境をどのようにストレージに接続しようとしているのか、どのような技術を検討中なのか、といったことだ。この機会を利用して、ビジネスに対する影響力を高めることだ。自分の専門領域の認知度を高めるだけではなく、IT環境の変化がどのようにして自社の最終利益に好影響をもたらしうるかという点についても考えよう。具体的には、以下のことを考慮する必要がある。

ボトルネック。サーバ仮想化技術が適切に導入されれば、新しいアプリケーションの導入に必要な時間はわずか数分になる。しかし、それをサポートするためのストレージのプロビジョニングにはどれくらいの時間がかかるのか。その答えが数日や数週間といった単位なら、プロセスを見直す必要があり、場合によっては新しいストレージ技術の導入が必要となることもある。

新しく展開されたネットワークを制御するのは誰か。通常はストレージチームが、ストレージ環境をサポートするネットワークのタイプを指定する。未来に目を向けると、それが変わっていくことは容易に想像がつく。FCoEの実用化が本格化すると、Ethernetスイッチの導入はストレージ企業とネットワーク企業のどちらに支配されることになるのだろうか。ストレージチームとネットワークグループのどちらが責任と予算を持つことになるのか。企業はストレージとネットワークの両チームからのメンバーで構成されるハイブリッドITグループを持つことになるのか。

FCoE製品にはストレージベンダーの認定が必要か。従来FCスイッチの販売は、特定のベンダーの影響は受けるものの、ストレージ企業が支配してきた。Ethernetスイッチは、ネットワークグループに対して販売され、NASやiSCSI環境での実装について承認を得る必要はなかった。しかし、FCoEではこのルールが変わった。現時点では、すべてのFCoE製品が主要ベンダーによるテスト、およびいわゆる「認定」を受けることとなっている。しかし、このトレンドは今後も続くのだろうか。過去何年もの間、ストレージベンダーの承認を得る必要なくEthernetスイッチを購入してきたのに、なぜ今更承認が必要となるのか。また、そもそもストレージベンダーにすべてのソリューションをテストする時間はあるのか、テストすることをベンダー自身が希望しているのか、という疑問も残る。ストレージベンダーが最終的な承認権を保持するのか、それともネットワークベンダーが、承認は不要と顧客を納得させるのか。そのような支配権の変動の可能性に引き続き注意を払うことが重要になる。

FCが今すぐに消えてなくなることはないだろう。かつてオープンシステムがメインフレームを駆逐すると言われたことを覚えているだろうか。実際には依然としてメインフレームはあちこちに存在している。仮想化というコンセプトについても、いわばオープンシステムがメインフレームの世界の論理パーティションの優れた利点を認識してそれを採用したようなものだ、と主張することも可能だ。FCはしばらくの間は残るだろう。といっても、ちょうどESCONやFICONのような位置付けであって、今後5年から10年の間に、もはや急成長している分野であるとか携わっていて最高に面白い分野であるとは言えなくなっているだろうが。

変化に備えたキャリアプランを
アスリートたちは、日々のトレーニングメニューの単調さから脱するため、また総合的な強さと持久力を鍛えるためにクロストレーニングを行う。IT部門も同じことをすべきではないだろうか。探求心を持って自分から学んでいく、ただし学習の範囲を現在の職務内容に限定しないこと。隣接する領域について考え、新しい技術によってどのようにしてビジネスに対するサービスのレベルが向上するかを常に考えよう。

現在、ベンダー各社、特に統合のメッセージを掲げているベンダーから、これらの新しい技術や仮想化製品についてより深く学ぶための講習や認定プログラムが提供されている。多くはオンラインで提供されており、現地に出向く必要はない。会社が費用を負担してくれるトレーニングがあるならばそれらを大いに活用して、知識の基盤を広げ、将来の成長に対応できる立場に立とう。

また、IEEEやT11といった標準化機関自体にもアクセスして、CEEやFCoEの最新状況についてより詳しく学ぶとよい。FCoEのホームページも有益だ。

統合ポイントを探せ
FCoEが有効となる領域の1つに、いわゆる「トップオブラック」スイッチがある。これは、使用するケーブルとカードの数は減るが、トラフィックをFC SANまたはEthernet LAN宛てに転送することができるため、完全に取り外して交換する必要はない、というスイッチだ。このような新しい技術を、機会が来たらすぐに実装できる環境を整えておくことが必要になるだろう。

Ciscoは、Nexus製品ラインや、ストレージネットワーキングSAN-OSとIOSを組み合わせて1つのインターフェースで使えるようにしたNX-OSオペレーティングシステムといった製品やソフトウェアで、統合を推し進めようとしている。同社が先日発表した仮想スイッチNexus 1000Vは、ハイパーバイザの内部で実行され、VMware仮想スイッチにとってかわるものだ。またNX-OSでも管理される。BrocadeがFoundryを買収したことで、同社もこれにならって、OSと単一コンソールを組み合わせてストレージとデータのネットワークを管理する方向に進むことが期待される。

全体像
統合の時代が始まろうとしている今、これらの業界の動きを支持し、計画し試行するチームの一員となることを目指すべきだろう。FCの2大ベンダーがこの秋、各社のポートフォリオを強化する多額の投資を行ったことを思い出してほしい。これからは混合サイロを支持する立場をとることだ。多くの企業はすでに、プロジェクトごとにこの新しい動きを受け入れ始めている。仮想化された環境におけるネットワークの統合は、まだ比較的新しいモデルだ。もちろん、いくつかの製品は提供されているし、テストも行われてはいるが、今からでは波に乗るのは遅すぎる、というわけではないのは明らかだ。2008年中はFCoEについて学び、FCoEを提供するベンダーとミーティングを持つことに時間を注いで、2009年を、実際に試行を始める年とすればよい。より先進的な企業は、限定的に本稼働環境への導入を始める可能性がある。そして2010年から2011年までには、大半のデータセンターが統合型ネットワークを備えているという状況になるはずだ。そこで問題になるのは、その時準備ができているか、ということだ。

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