JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「ビッグデータは本当にビッグになるのか?
2015年のトレンドを大手アナリストたちの予測から読み解く(1) 」

 

毎年前年の秋ころから次の年のトレンド予測が始まる。いろいろなアナリストが異なる「フレーズ」で最新トレンドを予測するのだが、内容的にはかなり類似しているように思うのは私だけだろうか? なんとなくファッション業界の「流行」が決められていくように。とはいえそれぞれのメッセージからその背景を読み解くのもまた一興である。
今回はこれから増えていくデータの種類とその保存場所に注目して、各アナリストの注目するテーマを咀嚼してみたい。
Gartner Top 10 Strategic Technology Trends for 2015より

 

1. Computing Everywhere
2. The Internet of Things (IoT)

もはやIoTではなくIoCE (Computing Everywhere) なのか。どこまでをコンピュータと定義するかという議論もあるが、家電もいわばコンピュータにもなりえる時代である。それぞれの小型コンピュータ(将来的には血液細胞サイズになるとも言われている)がそれぞれ独自に処理してその場で完結、必要な情報だけをやり取りする時代になると思う。裏を返せばデータセンター以外のデータ量が、大型データセンターの総容量よりも多くなるのではないか。そうなると中途半端な規模のデータセンターは陳腐化して、超小型エッジデータセンターとハイパースケールデータセンターの2極化が始まるかもしれない。前者は多少コスト高でも高密度、高速、低消費電力のストレージクラスメモリーになり、後者はより大容量、低コスト、省エネルギーのストレージが多用されるかもしれない。

 

3. 3D Printing

3Dプリンターには3Dデータが必要である。つまり3Dスキャナーデータが増えると予想されるわけで、廉価な3Dスキャナーが登場すると予想される。先行するのはデザイン、製造、建築、医療等の分野かもしれないが、たとえばタブレットやウェアラブルに実装された3Dスキャナーが標準機能となったらどうだろう。あっという間に3Dデータはネットで公開され、多くの人たちでシェアされる時代になるのではないか? データ量も膨大になりそうだ。それだけではない。3Dはすでに医療の現場で4Kでの運用が始まろうとしているし、ヘッドマウントディスプレイも3Dだ。考えてみれば車載カメラも3Dは容易だし、ヒューマノイドロボットは目が2つあるわけでネイティブ3Dではないか。3DデータがDaaS(Data as a Service)のコンテンツとして扱われるようになるのもそう遠くないのではないか。

 

4. Advanced, Pervasive, and Invisible Analytics
5. Context-Rich Systems

上記2つは、今後際限なく増殖していくセンサーデータ等と個人プロファイル情報等から、最適なサービスやソリューションを導き実際アクションに落とし込むものと解釈しているが、このAnalytics とContextというのは一朝一夕には精度が上がらない。ある程度のデータの蓄積が必要である。ある程度といっても、入手できるデータの種類も日増しに増え、とるべきアクションの手段も日々増え続けると考えると、どこまでのデータが必要かなど、定義するのは非常に困難だろう。明日にはまた違った分析手法が出現するかもしれないからだ。それならば、まずはできるだけ多くのデータを保存しておく仕組を作っておくのが必要なのではないか。

 

6. Smart Machines

自動運転自動車、ロボット等がこのカテゴリー。無人飛行機でほぼリアルタイムに地球をスキャンすることも可能になるだろうし、ロボットで危険地帯も旅行できるようになるかもしれない。そんなデータはどこに行くのだろうか? 森林伐採、資源探査、気象観測の立場からも地球の変化を蓄積するのは有意義だと考えれるし、ロボットで旅行ができたら、全データとっておきたいのではないか?まあ年に数回も見ないだろうから、これらのデータはコールドデータとして保存するのが適切かもしれない。

 

7. Cloud/Client Computing

クラウドはクライアントにアプリケーションを提供し、コーディネートし、データを記録する役割を担うというもの。少なくともしばらくは、今後のクライアント(センサーマシンを含む)の増加量に、クライアント-データセンター間の通信はついていけないと推測されるので、クライアント自体に自律的データ収集、分析、アクションの機能が完結でき、それらのデータが必要に応じてクラウドに送られることになるのだろう。クライアントのストレージは、ストレージクラスメモリー等が主流になる可能性が高い。一方クラウドのデータを管理保存していく役割は、高効率のハイパースケールデータセンターに集約されるのではないかと思う。そこでは徹底的なデータ階層/ライフサイクル管理により、低コストでありながらもセキュリティレベルの高いデータ管理が可能になる。

 

8. Software-Defined Applications and Infrastructure
9. Web-Scale IT

すべてがSoftware Definedを目指す背景としては、Agileという概念の台頭がある。アプリ開発自体のスピードも上がるがそれを提供するインフラも、それに対応するスピードで組み換えられなければ意味がないからだ。Agileとセットで語られることの多いDevOpsはWeb-Scale ITを実現するための最初のステップでもある。大手パブリッククラウドでサービスを展開する企業のモデルがまさにこれであるが、今や従来型の企業もこのモデルを取り入れていかざるを得ない。当然ストレージの拡張性も、従来とは比べ物にならないほど高いものが要求される。容量の拡張性がダイナミックに、かつ低コストで安全に行えることが要求される。ストレージの割り当てもそれぞれのデータに合わせて自動的に分析されて格納される必要が出てくるだろう。全部人が判断していてはデータの津波に飲み込まれてしまうからだ。
たとえば法規制のデータであればポリシーにより保存期間が決まっていて、アクセスも少ない。それでいてセキュリティは最高ランクのものが求められる。検索スピードの高いアプリを使用した、ニアラインディスクとテープとの階層管理、それに加えてテープのオフライン保管が適切だろう。

 

10. Risk-Based Security and Self-Protection

2014年は米大手金融や大手企業のデータブリーチ(漏えい、侵害)関連のニュースが多かった印象がある。
それではデータを減らせばよいか? そういうわけではない、捨てられないデータも多数あるからだ。ただ、セキュリティレベルを上げるのもコストがかかり、管理も複雑になるだろう。結局最大の防御はデータのオフライン化に行き着く。大量のデータをオフライン管理できるのはやはり実績のあるテープに限る。

 

上記10項目から筆者が導き出した予測は以下の5つである。

1.超小型エッジデータセンターとハイパースケールデータセンターの2極化が始まる
2.3Dプリンターの普及とともに3Dデータが増えサービス化される
3.Analyticsや Context-Rich Systemsの注目度が上がるにつれ、精度向上のためより多くの捨てられないデータが保存される
4.大量のコールドデータは高効率のハイパースケールデータセンターに集約され、徹底的に階層管理される 5.セキュリティの強化によりテープのオフライン管理が見直される

 

関連記事は以下を参照。

http://www.jdsf.gr.jp/backup/JEITA/2014/jeita03.html


一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
日本ヒューレットパッカード(株) 井上 陽治
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