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ドットの接続

第60回

SIMスワップ
詐欺の拡大

4月下旬、ある東京都議会議員のスマホが突然に利用ができなくなり、PayPayでのパスワードをリセットされ、さらに不正利用されてしまいました。気づいたときには電話も使えず、電話番号によるSMSも届かず、基地局からの電波を受けている印のアンテナマークも表示されなかったということです。すぐに携帯電話ショップに問い合わせると、都議会議員の地元ではなく、名古屋の携帯電話ショップで機種変更がされていました。翌月早々にも、今度は大阪府八尾市議会議員が同様の被害に逢い、やはり電子マネーを使い込まれてしまうという被害が起こりました。こちらもやはり名古屋の携帯電話ショップで機種変更が行われていました。なぜ地方議員のスマホが狙われて、このような被害を受けるのでしょうか。地方議員が被害に遭ったのは偶然なのでしょうか。 

スマートフォンを使う

これはSIMスワップ詐欺の典型です。携帯電話にはSIMと呼ばれるICチップが装着され、このSIMには電話番号を含め、携帯電話で利用する様々なサービスの情報が入っています。このSIMを他人の携帯電話に入れかえれば、本人の携帯電話になるのです。一般に、詐欺を行うためには機種交換ではなく、偽造した身分証明書、特に免許書を偽造し、「携帯電話を紛失した」として、携帯電話ショップに届け出て、新たなSIMを再発行してもらうのです。以前のSIM、つまり本来の携帯電話のSIMは無効化され、使えなくなり、携帯電話ショップをだまして得た新たなSIMを装着した携帯電話にとって代わられるのです。乗っ取った携帯電話を使って電子マネーを横領するのが目的です。横領した電子マネーで物品を購入し、それを搾取するのです。電子マネーを横領するためにはパスワード認証を突破する必要があります。通常、パスワードのリセット等には携帯電話番号を利用したSMSでの2要素認証が用いられます。携帯電話を乗っ取られては簡単に突破されてしまいます。 

 

 

SIMスワップ.jpg

なぜ地方議員がSIMスワップ詐欺の被害に逢っているのでしょうか。その原因は主に2つあります。一つは一般の人に比べて、生年月日や電話番号等の個人情報が洩れているということです。その情報に基づいて身分証明書を偽造できるからです。もう一つは、ある意味個人情報とは逆に、顔が周知されていないということです。身分証明書では本人の顔写真が必要であり、本人になりすますためにも、詐欺をはたらく人の顔写真を貼らなければなりません。地方議員の地元のショップでなければ他人の顔写真を貼ってもわからないでしょう。対策としてはICカード化された身分証明書での厳格な真偽確認ですが、現実には費用等の問題もあり、また顧客あってのショップであり無下に疑うこともできません。しかしながらSIMに関連した氏名等のデータベースに顔写真を登録し、見比べるぐらいの対応は可能でしょう。早急な対策が求められます。 

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